1 00:00:33,233 --> 00:00:37,171 こんばんは。 徳川家康です。 2 00:00:37,171 --> 00:00:42,009 今日は私の息子を紹介させてください。 3 00:00:42,009 --> 00:00:47,447 十一男の徳川頼房です。 4 00:00:47,447 --> 00:00:50,350 私が61の時の子です。 5 00:00:50,350 --> 00:00:55,155 フフフ やんちゃでね。 6 00:00:55,155 --> 00:01:03,030 7歳で常陸国 水戸 25万石を与えました。 7 00:01:03,030 --> 00:01:08,468 水戸家は皇室を大事にした。 8 00:01:08,468 --> 00:01:15,242 毎年 領地でとれる一番鮭は 必ず朝廷に献上し➡ 9 00:01:15,242 --> 00:01:19,479 親密な関係を築いていた。 10 00:01:19,479 --> 00:01:23,684 頼房の息子 光圀も…。 11 00:01:23,684 --> 00:01:32,292 「主君は京の天子様である。 徳川一門 こぞって敬うべし」と➡ 12 00:01:32,292 --> 00:01:35,128 常々話していました。 13 00:01:35,128 --> 00:01:42,002 そう 彼は 「水戸黄門」のモデルとなった人物だ。 14 00:01:42,002 --> 00:01:46,640 この尊王の思想は 全国に広がっていきました。 15 00:01:46,640 --> 00:01:53,814 多くの武士に読まれた この水戸学の本にも…。 16 00:01:53,814 --> 00:01:58,452 「孝を東照公」 つまり私に尽くし➡ 17 00:01:58,452 --> 00:02:04,992 「忠を天祖」 つまり天皇に尽くすとあります。 18 00:02:04,992 --> 00:02:09,663 書いたのは 安政の大地震で亡くなった➡ 19 00:02:09,663 --> 00:02:15,002 水戸藩の学者 藤田東湖だ。 20 00:02:15,002 --> 00:02:22,175 藤田東湖は九代目水戸藩主 斉昭の 精神的な支えであり➡ 21 00:02:22,175 --> 00:02:28,348 息子の慶喜も 東湖から多くを学びました。 22 00:02:28,348 --> 00:02:34,288 ただ… この地震で➡ 23 00:02:34,288 --> 00:02:37,958 我が徳川は大切なものを失ってしまった。 24 00:02:37,958 --> 00:02:40,427 (徳川斉昭)東湖! 25 00:02:40,427 --> 00:02:43,130 東湖! 東湖! 東湖!➡ 26 00:02:43,130 --> 00:02:47,801 東湖! 東湖…! 27 00:02:47,801 --> 00:02:52,439 わしは掛けがえのなき友を…➡ 28 00:02:52,439 --> 00:02:57,978 掛けがえのなき友を 亡くしてしまった…。➡ 29 00:02:57,978 --> 00:03:02,316 東湖…。 30 00:03:02,316 --> 00:03:06,153 (尾高長七郎)あにぃ! 藤田東湖が亡くなったといううわさは➡ 31 00:03:06,153 --> 00:03:08,655 惇忠たちのもとにも届きました。 32 00:03:08,655 --> 00:03:14,155 なんてことだんべ。 国の命運が決まるというこんな時に! 33 00:03:21,835 --> 00:03:24,338 (尾高惇忠)嘆いてもしかたねえ。➡ 34 00:03:24,338 --> 00:03:29,476 先生を亡くした今 我ら一人一人が志を持ち➡ 35 00:03:29,476 --> 00:03:32,112 この世に立ち向かわねばならねぇ。 36 00:03:32,112 --> 00:03:34,412 おう。 37 00:03:40,821 --> 00:03:43,623 (渋沢喜作)なぁ 栄一。 (渋沢栄一)おう。 38 00:03:43,623 --> 00:03:47,294 俺はなぁ 近頃 俺たちにもこの先➡ 39 00:03:47,294 --> 00:03:51,164 何かができるような 気がしてきてならねぇ。 40 00:03:51,164 --> 00:03:54,167 おう! 俺もよ。 41 00:03:54,167 --> 00:03:57,304 俺たちは所詮百姓。 42 00:03:57,304 --> 00:04:03,810 しかし漢の劉邦は沛の田舎から興り 四百余州の帝王となった。 43 00:04:03,810 --> 00:04:06,313 そのとおり! (伝蔵)へぇ そうなんか~。 44 00:04:06,313 --> 00:04:10,183 太閤秀吉とて元は尾張の百姓。 45 00:04:10,183 --> 00:04:15,822 東照大権現様とて 初めは三河の小さな殿様だんべ。 46 00:04:15,822 --> 00:04:18,859 俺たちだって 何かができたっておかしかねぇ! 47 00:04:18,859 --> 00:04:21,161 そのとおり! 48 00:04:21,161 --> 00:04:24,464 今に見てろ。 ハッハッハッハッ! 49 00:04:24,464 --> 00:04:27,367 (喜作 栄一)ハッハッハッハッ! そうなんか? 50 00:04:27,367 --> 00:04:29,367 (長七郎 栄一)え~い! 51 00:04:32,606 --> 00:04:35,275 (惇忠)栄一 それでは百姓握りだ。➡ 52 00:04:35,275 --> 00:04:37,277 鍬や鋤じゃねぇんだぞ。 53 00:04:37,277 --> 00:04:41,615 (渋沢宗助)まぁ 百姓には違いねぇかんな。 54 00:04:41,615 --> 00:04:43,615 あ~! 55 00:04:45,285 --> 00:04:48,955 (惇忠)刀は固く握れば 敵に素早く応ずることができねぇ。➡ 56 00:04:48,955 --> 00:04:55,128 柔らかく持ち 斬る瞬間に握り込め。 次! 57 00:04:55,128 --> 00:04:57,063 おう! 58 00:04:57,063 --> 00:04:59,800 え~い! えい! えい! えい! 59 00:04:59,800 --> 00:05:03,637 え~い! 喜作 二の足がついていってねぇぞ! 60 00:05:03,637 --> 00:05:06,673 おうよ! 俺の心はお侍だで! 61 00:05:06,673 --> 00:05:08,975 やあ~! 62 00:05:08,975 --> 00:05:12,475 えいや! え~い! 63 00:05:17,684 --> 00:05:19,686 よ~。 64 00:05:19,686 --> 00:05:21,686 お~ きたか! 65 00:05:23,824 --> 00:05:25,859 その技はまだ早ぇ! 66 00:05:25,859 --> 00:05:27,994 はい! 67 00:05:27,994 --> 00:05:29,930 やあ~! やあ~! 68 00:05:29,930 --> 00:05:32,730 え~い! 次! 69 00:05:34,401 --> 00:05:37,270 あ~ いってぇ。 70 00:05:37,270 --> 00:05:40,941 心は勇んでも 体はぼろぼろだで。 71 00:05:40,941 --> 00:05:44,277 (渋沢ゑい) あんれまぁ まぁた痣だらけだがねぇ。 72 00:05:44,277 --> 00:05:49,149 そうだで。 今日も しこたま しごかれたに。 73 00:05:49,149 --> 00:05:52,018 「お前たちの剣は覚悟が足りねぇ。➡ 74 00:05:52,018 --> 00:05:56,790 道場の稽古とまことの戦は 全く違うのだ」とのう。 75 00:05:56,790 --> 00:06:00,090 (渋沢なか)へぇ。 そんなもんなんかねぇ。 76 00:06:03,563 --> 00:06:08,363 (尾高千代)実の戦は いかなるところで始まるか知れねぇ。 77 00:06:10,337 --> 00:06:13,640 天を仰ぎ地の理を知れ。 78 00:06:13,640 --> 00:06:17,444 どんな不利な足場であろうと 剣を繰り出す。 79 00:06:17,444 --> 00:06:21,314 それができねば 死ぬ。 80 00:06:21,314 --> 00:06:24,314 死ぬ!? 81 00:06:25,986 --> 00:06:29,322 …と兄たちは食事の時まで➡ 82 00:06:29,322 --> 00:06:32,759 いつも そのようなことばかり 話しておりますゆえ。 83 00:06:32,759 --> 00:06:36,759 (なか)本当に男は戦が好きだいねぇ。 84 00:06:47,274 --> 00:06:52,946 あ~ 実の戦か…。 85 00:06:52,946 --> 00:06:56,246 俺はまだまだよのう。 86 00:06:59,119 --> 00:07:01,955 あ いや… 剣筋はいいと言われたにい。 87 00:07:01,955 --> 00:07:04,991 今日だって伝蔵に1発食らわしたし。 88 00:07:04,991 --> 00:07:08,295 でも長七郎なんかはこう➡ 89 00:07:08,295 --> 00:07:12,132 「たたっ斬ってやる!」という 気迫がすげぇ。 90 00:07:12,132 --> 00:07:19,332 どうも俺のは「よいっしょう」っつう 土掘ってる気合いになっちまうんだいな。 91 00:07:24,311 --> 00:07:26,646 あ いや 違うで。 92 00:07:26,646 --> 00:07:29,683 俺とてその場になれば 人なんて たたっ斬って…。 93 00:07:29,683 --> 00:07:32,385 いえ 違うんです! 千代はそんな栄一さんを➡ 94 00:07:32,385 --> 00:07:34,885 お慕い申しておるんだに! 95 00:07:36,590 --> 00:07:38,625 ん? 96 00:07:38,625 --> 00:07:41,261 は! え? 今 何と? 97 00:07:41,261 --> 00:07:44,097 いや あの あぁ…。 98 00:07:44,097 --> 00:07:46,600 失礼いたしました。 お邪魔いたしました。 99 00:07:46,600 --> 00:07:48,635 あ お千代…。 100 00:07:48,635 --> 00:07:54,435 あぁ… なんてこと! なんと はしたねぇ。 101 00:08:03,783 --> 00:08:06,983 (尾高やへ)あれ? お千代は? 102 00:08:08,955 --> 00:08:11,992 栄一 どうしたん? 103 00:08:11,992 --> 00:08:19,192 いや… いや 何だか胸がぐるぐるする。 104 00:08:25,305 --> 00:08:27,305 ん? 105 00:08:32,112 --> 00:11:22,612 ♬~ 106 00:11:31,958 --> 00:11:34,658 (吉子)お前様…。 107 00:11:37,130 --> 00:11:39,430 (吉子)お前様? 108 00:11:44,304 --> 00:11:47,604 あぁ 吉子か。 109 00:11:50,176 --> 00:11:55,448 地震で足止めになっていた美賀君が ようやく江戸に到着されるとのこと。 110 00:11:55,448 --> 00:12:00,153 一橋の屋敷の普請が済み次第 結納を行うそうです。 111 00:12:00,153 --> 00:12:02,455 そうか…。 112 00:12:02,455 --> 00:12:09,996 あの剛情息子の七郎が 嫁をめとるのだ。 113 00:12:09,996 --> 00:12:14,834 わしも ぼうとはしておられぬな。 114 00:12:14,834 --> 00:12:21,608 そうですとも。 お前様に気落ちは似合いませぬ。 115 00:12:21,608 --> 00:12:24,177 うん…。 116 00:12:24,177 --> 00:12:33,853 ♬~ 117 00:12:33,853 --> 00:12:36,756 (平岡円四郎)へい 出来やしたと。 118 00:12:36,756 --> 00:12:40,426 (徳川慶喜)ふん だいぶうまくなったな。 119 00:12:40,426 --> 00:12:42,795 さいですか? 120 00:12:42,795 --> 00:12:45,832 私は徳川の飾り物ゆえ 見栄えも大事だ。 121 00:12:45,832 --> 00:12:49,135 まぁたそんなことを。 122 00:12:49,135 --> 00:12:56,876 前から思ってましたがね あなた様は飾り物には向かねぇお方だ。 123 00:12:56,876 --> 00:12:59,846 馬の扱いも弓も一級。 124 00:12:59,846 --> 00:13:05,451 ご老公や東湖先生のご指導で 銃や大筒にだってお詳しい。 125 00:13:05,451 --> 00:13:11,324 あたしゃ あなた様をこの乱世に潜む 武士のもぐらと見ておりますんで。 126 00:13:11,324 --> 00:13:13,326 私がもぐらだと? 127 00:13:13,326 --> 00:13:16,996 また口が過ぎちまったぃ。 128 00:13:16,996 --> 00:13:23,469 しかし 過ぎたついでにもう一つだけ。 129 00:13:23,469 --> 00:13:28,841 水戸のご老公のみならず この日の本の皆の憂いが消え➡ 130 00:13:28,841 --> 00:13:34,948 お亡くなりになった東湖先生の 御霊も喜ぶ方法が一つだけございます。 131 00:13:34,948 --> 00:13:37,148 何だ? 聞こう。 132 00:13:38,818 --> 00:13:44,657 あなた様が 次の公方様になっちまうことです。 133 00:13:44,657 --> 00:13:46,659 お前までそんなことを。 134 00:13:46,659 --> 00:13:51,297 ハハッ。 まあ小姓の戯言とお聞き流しを。 135 00:13:51,297 --> 00:13:55,097 あたしはあなた様に ほれ込んでますんで。 136 00:14:02,809 --> 00:14:06,446 数日後。 137 00:14:06,446 --> 00:14:14,654 前の将軍や 父 斉昭のすすめで 慶喜の嫁に迎えられたのは…。 138 00:14:14,654 --> 00:14:17,457 美賀君と申しまする。 139 00:14:17,457 --> 00:14:20,827 よろしゅうお頼申しまする。 140 00:14:20,827 --> 00:14:24,330 さっすが公家のお姫様。 141 00:14:24,330 --> 00:14:26,265 お上品ときてますなぁ。 (中根長十郎)シッ。 142 00:14:26,265 --> 00:14:30,203 (徳信院)ほんに懐かしい言葉。 143 00:14:30,203 --> 00:14:32,939 よう参った。 面を上げよ。 144 00:14:32,939 --> 00:14:36,409 公家今出川家の美賀君は➡ 145 00:14:36,409 --> 00:14:40,780 病にかかった 慶喜の婚約者の身代わりとして➡ 146 00:14:40,780 --> 00:14:45,284 急遽 一橋家に嫁ぐことになったのでした。 147 00:14:45,284 --> 00:14:48,955 (徳信院) 生き弁天のように美しいと伺うたが➡ 148 00:14:48,955 --> 00:14:51,290 まことであった。 149 00:14:51,290 --> 00:14:53,626 お邪魔は消えるゆえ ごゆるりと。 150 00:14:53,626 --> 00:14:58,626 いえ 勤めがあるのでこれで。 それでは婚礼の日に。 151 00:15:09,108 --> 00:15:14,914 (徳信院)いもじさにかまけ 迎えが遅うなり はもじの限り。➡ 152 00:15:14,914 --> 00:15:19,714 これからは母と思い 何でも話してくだされ。 153 00:15:22,321 --> 00:15:24,657 江戸の薩摩藩邸には➡ 154 00:15:24,657 --> 00:15:30,997 地震のために嫁入りの遅れた姫が もう一人おりました。 155 00:15:30,997 --> 00:15:35,297 篤君 後の天璋院です。 156 00:15:36,803 --> 00:15:44,544 (松平慶永)篤君が嫁がれる公方様は 御年30を超えても お体が弱く…➡ 157 00:15:44,544 --> 00:15:47,480 お世継ぎをこしらえるどころか➡ 158 00:15:47,480 --> 00:15:51,284 城の畑でとれた芋やカボチャで➡ 159 00:15:51,284 --> 00:15:54,120 菓子をおこしらえになっておられる。 160 00:15:54,120 --> 00:16:02,829 (篤君)ええ! 大層美味とのうわさにて 篤も楽しみでございもす。 161 00:16:02,829 --> 00:16:07,433 そしてこの篤が 公方様や徳川のためにも➡ 162 00:16:07,433 --> 00:16:10,803 丈夫なお世継ぎを産んでみせましょう! 163 00:16:10,803 --> 00:16:15,308 いや… それよりも国のためなら➡ 164 00:16:15,308 --> 00:16:22,815 一刻も早く一橋様が 公方様のお世継ぎになることが肝要じゃ。 165 00:16:22,815 --> 00:16:27,153 へ? 一橋様が? お世継ぎに? 166 00:16:27,153 --> 00:16:29,655 (島津斉彬)そうだ 篤。➡ 167 00:16:29,655 --> 00:16:37,930 そして我ら薩摩や日の本中の諸侯が その一橋様の政を支えるのだ。➡ 168 00:16:37,930 --> 00:16:44,270 篤には大奥からその後押しをしてほしい。 169 00:16:44,270 --> 00:16:48,774 はら さようでございもすか。 170 00:16:48,774 --> 00:16:51,410 承知いたしもした。 171 00:16:51,410 --> 00:16:54,410 (斉彬)頼んだぞ。 はい。 172 00:16:57,283 --> 00:16:59,952 (橋本左内)我が殿 越前守様は➡ 173 00:16:59,952 --> 00:17:03,789 元来 才ある美しきものをお好みです。➡ 174 00:17:03,789 --> 00:17:10,429 それゆえ今の公方様を「イモ公方」とか 「凡庸の中でも下の下」とお嫌いで。➡ 175 00:17:10,429 --> 00:17:14,300 一刻も早くご隠居いただき 一橋様を将軍にと➡ 176 00:17:14,300 --> 00:17:16,802 伊勢守様に懇願しておるのです。 177 00:17:16,802 --> 00:17:22,302 へぇ~。 伊勢守様もいろいろ大変だ。 178 00:17:24,143 --> 00:17:28,314 で 左内殿 あっしに話ってえのは…。 179 00:17:28,314 --> 00:17:34,120 はい 平岡殿に 折り入ってお願い事があるのです。 180 00:17:34,120 --> 00:17:39,926 一橋様が どれだけ将軍にふさわしいお方か➡ 181 00:17:39,926 --> 00:17:44,597 私どもに御身の回りの話を お教えいただきたいのです。 182 00:17:44,597 --> 00:17:49,097 身の回りの話を? 183 00:17:50,937 --> 00:17:53,406 おかしれぇことになってきたぜ。 184 00:17:53,406 --> 00:17:57,109 (やす)また出たよ。 あんたの「おかしれぇ」が。 185 00:17:57,109 --> 00:18:02,915 いよいよ俺の殿様が 日の本の殿様になるかもしれねぇ。 186 00:18:02,915 --> 00:18:06,619 そういう流れが こうひたひたと 押し寄せてきてるんでぇ。 187 00:18:06,619 --> 00:18:13,292 ふ~ん。 そんなことより私が気になるのは 一橋様に入ったお姫様だよ。 188 00:18:13,292 --> 00:18:16,629 殿様が一遍も 床を共にしないって聞いたけど➡ 189 00:18:16,629 --> 00:18:18,564 あれから一体どうなったんだい。 190 00:18:18,564 --> 00:18:22,134 何を言ってやんでぇ そんなゲスな話…。 191 00:18:22,134 --> 00:18:25,834 (小声で)それがよう。 どうもこうも徳信院様に…。 192 00:18:32,245 --> 00:18:35,745 やきもち やいちまってるみてぇなんでぃ。 昨日もよう…。 193 00:18:37,917 --> 00:18:41,587 また お二人でお戯れとは…➡ 194 00:18:41,587 --> 00:18:43,522 腹立たしい! 美賀君 何を! 195 00:18:43,522 --> 00:18:46,259 (須磨) 美賀君様 おいきまきはなりませぬ! 196 00:18:46,259 --> 00:18:48,261 離せ! 離さぬか! 197 00:18:48,261 --> 00:18:53,766 この殿の汚らわしい恋心に 妾が気付かぬとお思いか! 198 00:18:53,766 --> 00:18:57,103 離せ! 離せ! 199 00:18:57,103 --> 00:19:01,941 へぇ。 そりゃおかしろいお姫様じゃないか。 200 00:19:01,941 --> 00:19:06,112 へっ おかしれぇもんか。 こっちは一大事よ。 201 00:19:06,112 --> 00:19:12,285 そして 幕府にも一大事が起きました。 202 00:19:12,285 --> 00:19:14,285 お待ちくだされ! 203 00:19:19,792 --> 00:19:24,664 港を開いた下田に アメリカ合衆国の代表として➡ 204 00:19:24,664 --> 00:19:27,667 ハリスがやって来たのです。 205 00:19:27,667 --> 00:19:32,438 (川路聖謨)ハルリスは いよいよ 貿易を求めております。 206 00:19:32,438 --> 00:19:36,909 公方様にお目通りし 通商の条約を結ぶまでは➡ 207 00:19:36,909 --> 00:19:39,945 下田に居座ると申しておるとのこと。 208 00:19:39,945 --> 00:19:42,782 (岩瀬忠震)伊勢守様。 私はこれまで➡ 209 00:19:42,782 --> 00:19:46,585 異人との約定は 曖昧にすべきと存じておりましたが➡ 210 00:19:46,585 --> 00:19:50,456 今は国を開くべきと存じております。 211 00:19:50,456 --> 00:19:53,459 まさにそのとおり。 212 00:19:53,459 --> 00:19:56,595 通商は損ばかりではなく➡ 213 00:19:56,595 --> 00:20:01,295 地震で多くを失った我が国を 富ませる見込みがあります。 214 00:20:03,936 --> 00:20:06,839 (阿部正弘)相分かった。 215 00:20:06,839 --> 00:20:11,339 その時が来たのかもしれぬ。 216 00:20:13,612 --> 00:20:19,118 ならぬ! 断じてこれ以上 国を開いてはならぬ! 217 00:20:19,118 --> 00:20:23,789 異人どもを将軍に謁見させるなど もっての外じゃ! 218 00:20:23,789 --> 00:20:26,425 しかし…。 黙れ! 219 00:20:26,425 --> 00:20:31,130 こうなったら即刻朝廷へご報告せねば。 220 00:20:31,130 --> 00:20:39,638 今こそ天子様のお力で 我が国を一つにまとめ 断固戦うのみ! 221 00:20:39,638 --> 00:20:41,574 朝廷への報告はなりませぬ! 222 00:20:41,574 --> 00:20:46,812 斉昭は 朝廷に 異国が開国を迫っている事実を➡ 223 00:20:46,812 --> 00:20:50,449 知らせてしまいました。 224 00:20:50,449 --> 00:20:57,149 うっ うう…。 225 00:21:02,828 --> 00:21:08,634 何じゃ? 兄弟そろって話とは…。 226 00:21:08,634 --> 00:21:16,342 父上… そろそろ ご公儀の参与は➡ 227 00:21:16,342 --> 00:21:18,677 辞任なされてはいかがでしょうか。 228 00:21:18,677 --> 00:21:20,713 何だと。 229 00:21:20,713 --> 00:21:23,482 当主は兄上です。 230 00:21:23,482 --> 00:21:29,288 父上も政に未練はおありでしょうが もう十分隠居されてもよいお年です。 231 00:21:29,288 --> 00:21:33,159 老人扱いしおって! 232 00:21:33,159 --> 00:21:37,029 お前はそのように澄ましくさって➡ 233 00:21:37,029 --> 00:21:42,029 水戸の血を引く者として 何ができるというのか! 234 00:21:45,638 --> 00:21:50,309 将軍になってくれるとでもいうのか? 235 00:21:50,309 --> 00:21:55,109 ならば私は喜んで 今すぐにでも隠居してやるわ! 236 00:22:15,835 --> 00:22:20,473 (歓声) 237 00:22:20,473 --> 00:22:22,408 よいっしょう! 238 00:22:22,408 --> 00:22:26,679 (渋沢市郎右衛門) 得意先回りで まあた力石やったんか。 239 00:22:26,679 --> 00:22:31,650 そうよ。 川辺村の若もん連中が 誰も上げらんねぇ力石を➡ 240 00:22:31,650 --> 00:22:34,119 俺が持ち上げたんだ。 ハハハハ。 241 00:22:34,119 --> 00:22:36,788 ばか力じゃ誰にも負けねぇな。 242 00:22:36,788 --> 00:22:42,661 おうよ。 藍玉もどっさり売れたしなぁ。 さあ 戻って仕事だに。 243 00:22:42,661 --> 00:22:46,298 (伝蔵)あにき! あにきぃ~! 244 00:22:46,298 --> 00:22:49,201 大変だ あにき! 道場破りだに! 245 00:22:49,201 --> 00:22:51,169 道場破り? 246 00:22:51,169 --> 00:22:53,969 (伝蔵)早く… 早く! 247 00:22:59,444 --> 00:23:05,817 (惇忠)私がこの道場を任される者。 尾高惇忠と申す。➡ 248 00:23:05,817 --> 00:23:11,156 近頃 この辺りに 北辰一刀流の剛の者が現れ➡ 249 00:23:11,156 --> 00:23:15,660 幾人かの道場主がたたき伏せられた。 250 00:23:15,660 --> 00:23:20,832 夜逃げした師範もいたと聞く。 それは貴殿かな? 251 00:23:20,832 --> 00:23:23,335 いかにも。 252 00:23:23,335 --> 00:23:27,839 武者修行も飽き そろそろ江戸に 戻ろうかと考えていたところ➡ 253 00:23:27,839 --> 00:23:34,112 この道場に尾高という強者がいると聞き 勝負に参った。 254 00:23:34,112 --> 00:23:36,612 お手合わせ願おう。 255 00:23:39,284 --> 00:23:45,484 ハハ 田舎稼ぎの道場破りぐれぇ この俺が片づけてやるで。 ヘヘ。 256 00:23:49,995 --> 00:23:52,831 某は渋沢喜作と申すもの。 257 00:23:52,831 --> 00:23:56,701 この道場で道場破りの相手といったら この俺と決まってるんだ。 258 00:23:56,701 --> 00:23:59,901 さぁ 来ない! 259 00:24:02,140 --> 00:24:07,312 このころ 攘夷の機運と相まって 武芸が盛んになり➡ 260 00:24:07,312 --> 00:24:14,512 腕に覚えのある者が他流試合を挑む 道場破りがはやっていました。 261 00:24:18,023 --> 00:24:20,325 あ~! 262 00:24:20,325 --> 00:24:23,995 あ~! ええぃ! 263 00:24:23,995 --> 00:24:26,331 そこまで! 264 00:24:26,331 --> 00:24:28,667 何だありゃ…。 265 00:24:28,667 --> 00:24:34,472 (惇忠)他流試合は真剣勝負と同じ。 技の錬磨も何もねぇ。 266 00:24:34,472 --> 00:24:39,277 勝つか負けるかのどっちかだで。 267 00:24:39,277 --> 00:24:43,477 (長七郎)勝つか 負けるか…。 268 00:24:54,826 --> 00:24:57,826 あ~! や~! 269 00:25:00,131 --> 00:25:02,167 あ~! ううっ! 270 00:25:02,167 --> 00:25:04,967 出たぃ! 栄一の体当たりだで! 271 00:25:07,439 --> 00:25:09,439 え~い! 272 00:25:14,145 --> 00:25:17,983 真剣勝負 勝つか負けるかだ…。 273 00:25:17,983 --> 00:25:20,783 あ~…。 274 00:25:22,454 --> 00:25:25,657 あ… くぅ…。 275 00:25:25,657 --> 00:25:30,457 そこまで! あ~。 276 00:25:32,397 --> 00:25:36,101 お見事。 277 00:25:36,101 --> 00:25:38,403 真田殿と申されたな。➡ 278 00:25:38,403 --> 00:25:42,941 2人戦ったあとで面目ないが お手合わせ願いたい。 279 00:25:42,941 --> 00:25:47,779 尾高長七郎と申す。 280 00:25:47,779 --> 00:25:53,118 尾高長七郎! 北武蔵の天狗とはお前のことか。 281 00:25:53,118 --> 00:25:56,955 いかにも。 282 00:25:56,955 --> 00:26:20,178 ♬~ 283 00:26:20,178 --> 00:26:23,181 え~い! や~! や~! 284 00:26:23,181 --> 00:26:25,981 や~! や~! や~! 285 00:26:34,259 --> 00:26:38,959 よ~。 286 00:26:45,403 --> 00:26:47,903 よ~。 287 00:26:50,241 --> 00:26:52,941 や~! 288 00:26:57,782 --> 00:26:59,782 (惇忠)そこまで! 289 00:27:03,588 --> 00:27:07,292 こんなすばらしい男たちが この地におったとはのう。 290 00:27:07,292 --> 00:27:10,992 いやあ それほどでも。 おめえが言うな! 291 00:27:13,164 --> 00:27:18,803 わしも実を申せば 元は 武州多摩の百姓のせがれ。 292 00:27:18,803 --> 00:27:21,706 おめぇも百姓なんか? うむ。 293 00:27:21,706 --> 00:27:26,978 腕を磨いて 名を改め 今は剣術で食っておる。 294 00:27:26,978 --> 00:27:29,814 昨今 我が道場でも➡ 295 00:27:29,814 --> 00:27:33,785 この日の本は このままで いいのかっちゅう話で持ちきりだ。 296 00:27:33,785 --> 00:27:35,920 やはりそうか。 297 00:27:35,920 --> 00:27:38,957 下田の港は異国の船ばかり。 298 00:27:38,957 --> 00:27:43,795 この夏にはアメリカの使いどもが 「もっともっと国を開け」と➡ 299 00:27:43,795 --> 00:27:47,398 下田の玉泉寺に 住みついてしまったっちゅう話だ。 300 00:27:47,398 --> 00:27:52,937 異人が住みついたとな? あぁ。 異国にびくついておるご公儀は➡ 301 00:27:52,937 --> 00:27:56,774 今度こそ まことに 国を開いてしまうつもりらしい。 302 00:27:56,774 --> 00:27:59,110 なぬ! それはならねぇ! 303 00:27:59,110 --> 00:28:01,412 おう! 外夷は討つべし! 304 00:28:01,412 --> 00:28:06,251 そうよ。 日の本の神を仰ぎ夷狄を討つ。 305 00:28:06,251 --> 00:28:10,155 今の江戸のはやりは この尊王攘夷の心よ。 306 00:28:10,155 --> 00:28:13,955 尊王攘夷? 307 00:28:19,430 --> 00:28:24,135 (惇忠)おう。 あ すみません。 308 00:28:24,135 --> 00:28:26,335 お千代 すまねぇ。 へえ。 309 00:28:27,972 --> 00:28:30,472 どうぞ。 (範之助)かたじけない。 310 00:28:38,383 --> 00:28:43,221 失礼しました。 (惇忠)おう。 よし…。 311 00:28:43,221 --> 00:28:48,927 おい真田 そんな目でお千代を見るな。 312 00:28:48,927 --> 00:28:53,798 こんな田舎にあんな美女がおったとは…。 313 00:28:53,798 --> 00:28:58,937 お千代は俺ら尾高の大事な妹だで… そうよのう。 314 00:28:58,937 --> 00:29:03,608 長七郎に剣で勝った者にしか やれねぇのう。 315 00:29:03,608 --> 00:29:06,308 ハハハ…。 316 00:29:08,112 --> 00:29:10,148 そのとおりだいのう。 317 00:29:10,148 --> 00:29:13,618 (笑い声) 318 00:29:13,618 --> 00:29:16,287 さあ 真田殿。 ああ…。 319 00:29:16,287 --> 00:29:36,908 ♬~ 320 00:29:36,908 --> 00:29:38,908 おう…。 321 00:29:47,085 --> 00:29:49,587 きせさんは? 322 00:29:49,587 --> 00:29:53,758 あぁ 奥で平九郎を寝かせてるとこで。 323 00:29:53,758 --> 00:29:59,931 でも えらいにぎやかで ちゃんと眠れるかどうか…。➡ 324 00:29:59,931 --> 00:30:02,631 あぁ お酒だいね? 325 00:30:09,641 --> 00:30:13,945 えらい楽しそうで 道場で何があったん? 326 00:30:13,945 --> 00:30:17,415 え? 何がって…。 327 00:30:17,415 --> 00:30:19,784 あ~! ううっ! 328 00:30:19,784 --> 00:30:23,584 え~い! あ~…。 329 00:30:25,957 --> 00:30:28,993 何もねぇ。 330 00:30:28,993 --> 00:30:31,793 な 何もねぇよ! 男同士のことだ。 331 00:30:34,666 --> 00:30:40,438 男同士の。 そうですか。 332 00:30:40,438 --> 00:30:42,974 あぁ いい! お千代は来んな。 あんな男くせぇところ…。 333 00:30:42,974 --> 00:30:44,909 でも…。 いいから…。 334 00:30:44,909 --> 00:30:48,909 おおっ… あっつ! あ! あれま 大変! 335 00:30:53,151 --> 00:31:05,463 ♬~ 336 00:31:05,463 --> 00:31:07,463 触んな! 337 00:31:09,667 --> 00:31:13,838 あ… ご ごめんなさい 私…。 338 00:31:13,838 --> 00:31:24,482 ♬~ 339 00:31:24,482 --> 00:31:27,982 何だいな このぐるぐるは…。 340 00:31:30,855 --> 00:31:33,424 (伝蔵) あにき どしたんだい 酔っ払ってんかい。 341 00:31:33,424 --> 00:31:35,360 いや 胸だけじゃねぇ。 342 00:31:35,360 --> 00:31:41,132 血がぐるぐるして脳天から体の先まで どっとこどっとこ巡ってやがる! 343 00:31:41,132 --> 00:31:44,168 (伝蔵)どっとこどっとこ? そりゃ飲み過ぎだいな。➡ 344 00:31:44,168 --> 00:31:46,304 おいらも一杯頂きに来たで。 345 00:31:46,304 --> 00:31:49,304 あぁ 分かんねぇ! 346 00:31:52,977 --> 00:31:56,314 ちっとんべ頭冷やしてくるんべ。 347 00:31:56,314 --> 00:31:58,983 はぁ? あぁ…。 348 00:31:58,983 --> 00:32:10,595 ♬~ 349 00:32:10,595 --> 00:32:15,295 はぁ… 何だいな これは…。 350 00:32:18,836 --> 00:32:20,836 あ~! 351 00:32:23,341 --> 00:32:25,343 う~ん…。 352 00:32:25,343 --> 00:32:28,012 (須磨)美賀君様! 美賀君様! 353 00:32:28,012 --> 00:32:31,048 許さぬ! あ~! あ~! 354 00:32:31,048 --> 00:32:35,848 あ~! 離せ! おやめください…。 355 00:32:37,622 --> 00:32:39,622 (悲鳴) 356 00:32:44,295 --> 00:32:47,295 何故じゃ…。 357 00:32:53,971 --> 00:32:58,843 美賀君様! 美賀君様! 美賀君様! 358 00:32:58,843 --> 00:33:04,982 そして 年が明け 安政四年。 359 00:33:04,982 --> 00:33:12,723 斉昭は新年には必ず 皇族出身の吉子を上座に座らせ➡ 360 00:33:12,723 --> 00:33:14,692 盃を賜りました。 361 00:33:14,692 --> 00:33:18,329 (一同)おめでとうござりまする。 362 00:33:18,329 --> 00:33:21,029 おめでとう。 363 00:33:23,835 --> 00:33:28,673 東湖亡きあと 水戸は乱れております。 364 00:33:28,673 --> 00:33:35,112 当主の慶篤は気が優しすぎ それに御前様も…。 365 00:33:35,112 --> 00:33:37,782 伊勢守殿から伺いました。 366 00:33:37,782 --> 00:33:43,421 父上が許しもなく 朝廷に徳川の内情を話し 困っておると。 367 00:33:43,421 --> 00:33:48,793 えぇ 近頃は 威勢のいいことを言うたかと思えば➡ 368 00:33:48,793 --> 00:33:55,666 次のいっときにはひどく気落ちされ 胸の痛みもおありになって…。 369 00:33:55,666 --> 00:34:00,805 そうですか。 私からも父上に話をしてみましょう。 370 00:34:00,805 --> 00:34:05,805 ありがとう。 ありがとう 慶喜。 371 00:34:08,546 --> 00:34:14,819 それにしても 父上はよい妻をめとられた。 372 00:34:14,819 --> 00:34:20,691 私は おなごとは母上や徳信院様のような 方ばかりかと思うておりました。 373 00:34:20,691 --> 00:34:23,995 とんだ世間知らずだったようで…。 374 00:34:23,995 --> 00:34:27,695 今では たった一人の妻も 持て余しております。 375 00:34:29,333 --> 00:34:34,105 私がよい妻などとはとんでもない。 376 00:34:34,105 --> 00:34:39,105 私は嫁ぐ夫に恵まれただけですよ。 377 00:34:41,412 --> 00:34:45,283 夫が素直で よき心を持てば➡ 378 00:34:45,283 --> 00:34:50,083 妻もおのずと 良妻となるものかもしれませぬ。 379 00:34:58,796 --> 00:35:03,434 天子様のおわす京はあちらだ。 380 00:35:03,434 --> 00:35:13,644 ♬~ 381 00:35:13,644 --> 00:35:24,144 これは 義公以来 代々引き継ぐ 我が水戸家のおきてである。 382 00:35:25,990 --> 00:35:36,100 我らは三家 御三卿として 徳川の政を助けるのは当然のこと。 383 00:35:36,100 --> 00:35:43,841 しかし… もし万が一何かが起こり➡ 384 00:35:43,841 --> 00:35:49,647 朝廷と徳川が 敵対することがあった時には…➡ 385 00:35:49,647 --> 00:35:55,486 徳川宗家に背くことはあっても➡ 386 00:35:55,486 --> 00:36:06,486 決して 決して天子様に向かって 弓を引くようなことはあってはならぬ。 387 00:36:08,165 --> 00:36:15,439 ゆめゆめ忘れることのなきよう。 388 00:36:15,439 --> 00:36:17,375 (慶篤 慶喜)ははっ。 389 00:36:17,375 --> 00:36:33,257 ♬~ 390 00:36:33,257 --> 00:36:35,192 (慶喜)父は老いました。 391 00:36:35,192 --> 00:36:40,598 近頃は胸の痛みもひどいようです。 392 00:36:40,598 --> 00:36:46,103 もし辞職願が出されましたら お受けいただきたくお願い申し上げます。 393 00:36:46,103 --> 00:36:48,803 承知いたしました。 394 00:36:53,411 --> 00:36:57,782 伊勢守殿もお顔の色がすぐれませんな。 395 00:36:57,782 --> 00:37:03,654 ハリスの出府を認めたゆえ その応対に追われております。 396 00:37:03,654 --> 00:37:08,492 そんな中 薩摩殿や越前殿からは➡ 397 00:37:08,492 --> 00:37:14,131 誰かさまを一刻も早く将軍の跡継ぎにと 矢の催促です。 398 00:37:14,131 --> 00:37:16,434 フフ。 アホらしい。 399 00:37:16,434 --> 00:37:19,970 その誰かさまは全く威厳などありません。 400 00:37:19,970 --> 00:37:27,845 大したお務めもなく 近いうちに遠くまで 馬でも走らせようかと考えております。 401 00:37:27,845 --> 00:37:32,383 これは 遠乗りで使えと 父から譲り受けたもの。 402 00:37:32,383 --> 00:37:35,086 使い方まで このように詳しく…。 403 00:37:35,086 --> 00:37:39,256 ハハハハ。 ご老公の字だ。 404 00:37:39,256 --> 00:37:44,929 私には「体調がすぐれぬならこれを」と 牛の乳を送ってくれました。 405 00:37:44,929 --> 00:37:48,265 あぁ 私も水戸にいた時 毎日飲まされました。 406 00:37:48,265 --> 00:37:51,065 ああ そうですか。 407 00:37:54,605 --> 00:38:02,905 私は… 誰かさまと共に一度 ご公儀で働いてみたかった気もします。 408 00:38:06,784 --> 00:38:10,121 この国は変わろうとしている。 409 00:38:10,121 --> 00:38:19,621 お父君や我らの世が終わり 新しい世が始まろうとしているのです。 410 00:38:27,304 --> 00:38:30,141 え? 長七郎が江戸にだって? 411 00:38:30,141 --> 00:38:33,577 あぁ こないだ来た千葉道場の真田に➡ 412 00:38:33,577 --> 00:38:36,914 「その腕は田舎で眠らすには もったいねぇ」って勧められて➡ 413 00:38:36,914 --> 00:38:39,750 江戸まで武者修行の旅に出るんだとよ。 414 00:38:39,750 --> 00:38:43,921 あれまぁ そしたら尾高のうちは…。 415 00:38:43,921 --> 00:38:47,258 あにぃがよ 「俺に任せとけ」って許したんだんべ。 416 00:38:47,258 --> 00:38:50,161 へぇ さすが孝行もんのあにぃだねぇ。 417 00:38:50,161 --> 00:38:54,598 いいなぁ 俺も江戸に行ってみてぇなぁ。 418 00:38:54,598 --> 00:38:59,770 この目で 今の世がどうなってんのか 見てきてぇなぁ。 419 00:38:59,770 --> 00:39:02,273 江戸ではよう 尊王攘夷ってのが…。 420 00:39:02,273 --> 00:39:04,775 あぁ もう あんたは江戸でなくても➡ 421 00:39:04,775 --> 00:39:07,678 信州や上州の紺屋さんが 待ってるんだったいね。 422 00:39:07,678 --> 00:39:09,647 ほぉら 行っておいで。 423 00:39:09,647 --> 00:39:11,647 へぇへぇ。 424 00:39:21,792 --> 00:39:25,092 尊王攘夷…。 425 00:39:28,566 --> 00:39:33,370 長七郎 頼みがある。 ん? 426 00:39:33,370 --> 00:39:37,241 江戸から戻ったら 俺と勝負してくれ。 427 00:39:37,241 --> 00:39:42,379 江戸から戻れば お前はきっと もっと強くなってるだんべぇ。 428 00:39:42,379 --> 00:39:46,250 それでも俺は お前に勝たなきゃなんねぇんだ。 429 00:39:46,250 --> 00:39:53,250 お前に勝って… お千代を嫁にもらいてぇ。 430 00:39:54,925 --> 00:39:57,828 ええっ! 431 00:39:57,828 --> 00:40:01,028 おお 栄一もいたんか。 432 00:40:04,602 --> 00:40:08,402 俺は… お千代が欲しい。 433 00:40:13,110 --> 00:40:16,981 え~い! や~! 434 00:40:16,981 --> 00:40:47,981 ♬~ 435 00:41:07,998 --> 00:41:09,998 おい! 436 00:41:12,169 --> 00:41:14,469 構わぬ。 437 00:41:34,491 --> 00:42:01,151 ♬~ 438 00:42:01,151 --> 00:42:05,823 (堀田正睦)海防掛に開国互市の方針を 決定すべきか否かを諮問しております。 439 00:42:05,823 --> 00:42:12,329 また軍艦教授所の開設を布告しましたが いまだ伝習志願者が集まりませぬ。 440 00:42:12,329 --> 00:42:17,201 薩摩守様が江戸を出たあと ひそかに京伏見に寄り➡ 441 00:42:17,201 --> 00:42:22,006 公家や朝廷と 懇談されているとのうわさがございます。 442 00:42:22,006 --> 00:42:26,806 困ったことだ。 朝廷との…。 443 00:42:29,680 --> 00:42:34,118 うぅ…。 は? えっ…。 444 00:42:34,118 --> 00:42:38,622 伊勢守様! 誰か! 医者を呼べ 医者を! 445 00:42:38,622 --> 00:42:41,658 伊勢守様! 446 00:42:41,658 --> 00:42:45,963 ううっ…。 447 00:42:45,963 --> 00:43:01,311 ♬~ 448 00:43:01,311 --> 00:43:04,648 本当にお前はこのままでいいのか…。 449 00:43:04,648 --> 00:43:08,519 へぇ。 これから天下は大いに荒れるぞ。 450 00:43:08,519 --> 00:43:12,322 お千代が欲しい! お千代は駄目だに! 451 00:43:12,322 --> 00:43:16,660 あいちゃ~。 いずれ 将軍になるおつもりであらしゃるか? 452 00:43:16,660 --> 00:43:20,330 私は 青天を衝く勢いで…。 453 00:43:20,330 --> 00:43:22,266 お千代! 454 00:43:22,266 --> 00:43:26,066 白雲を突き抜けるほどの勢いで進む! 455 00:43:36,113 --> 00:43:42,313 ここは日米和親条約により 幕末に開港をした場所です。 456 00:43:43,987 --> 00:43:46,824 アメリカの外交官 ハリスは➡ 457 00:43:46,824 --> 00:43:51,624 港に程近い玉泉寺に 領事館を構えました。 458 00:43:54,798 --> 00:44:02,298 ハリスは 通訳のヒュースケンと共に この地で およそ3年間を過ごしました。 459 00:44:06,143 --> 00:44:11,943 ストーブを設置する際に開けた壁の穴が 今も残っています。 460 00:44:14,017 --> 00:44:19,456 開国間もない日本の 貿易の基礎を築いたハリス。 461 00:44:19,456 --> 00:44:22,993 その功績に感謝した栄一は➡ 462 00:44:22,993 --> 00:44:26,793 境内に記念碑を建立しました。 463 00:44:30,868 --> 00:44:37,668 栄一は史跡保存のため 玉泉寺の大修繕を支援します。 464 00:44:39,409 --> 00:44:41,778 この時 本堂の屋根が➡ 465 00:44:41,778 --> 00:44:46,478 かやぶきから銅板ぶきへ ふき替えられました。 466 00:44:48,652 --> 00:44:55,852 玉泉寺は 今も私たちに 開国の歴史を語りかけています。 467 00:45:33,230 --> 00:45:35,699 (仁左衛門)使い鳩は 飼い主のところに戻るという。 468 00:45:35,699 --> 00:45:38,602 安部式部が 気付くやもしれぬな。 469 00:45:38,602 --> 00:45:43,941 <盗賊 雲霧一党を追う 火付盗賊改方は➡ 470 00:45:43,941 --> 00:45:47,244 名古屋に その足跡を認めたものの➡ 471 00:45:47,244 --> 00:45:52,549 なかなか 手がかりを つかめずにいた> 472 00:45:52,549 --> 00:45:56,553 あとは 盗賊改が どんな手を打ってくるかだ。 473 00:45:56,553 --> 00:46:09,753 ♬~