1 00:00:36,889 --> 00:00:39,926 さて今日は…➡ 2 00:00:39,926 --> 00:00:45,064 江戸へと旅立つことになった 長七郎の送別会です。 3 00:00:45,064 --> 00:00:51,738 (尾高惇忠)みんな! 今から長七郎に… 送別の詩を送りたい。 4 00:00:51,738 --> 00:00:55,408 (渋沢喜作)うお~! (渋沢栄一)あにぃの詩だ! 5 00:00:55,408 --> 00:00:57,410 先生の詩か! まことか! 6 00:00:57,410 --> 00:01:02,749 こんばんは。 徳川家康です。 7 00:01:02,749 --> 00:01:05,785 いいですね。 8 00:01:05,785 --> 00:01:12,425 私の若い頃 彼らのように楽しい宴は 考えられなかった。 9 00:01:12,425 --> 00:01:20,166 生まれてすぐ人質となり それからずっと戦い続けていたからです。 10 00:01:20,166 --> 00:01:28,574 そうして私が作り上げた太平の世では 文化が一気に発展した。 11 00:01:28,574 --> 00:01:30,943 特にブームになったのが➡ 12 00:01:30,943 --> 00:01:38,217 今 惇忠が読もうとしている 漢語によるポエム 漢詩です。 13 00:01:38,217 --> 00:01:40,153 武士や学者はもちろん➡ 14 00:01:40,153 --> 00:01:45,725 栄一たちインテリ農民も 漢詩を詠みました。 15 00:01:45,725 --> 00:01:49,595 今現在 理解できる方は少ないと思うが➡ 16 00:01:49,595 --> 00:01:54,734 江戸人の心を知る上で どうしても披露したいので➡ 17 00:01:54,734 --> 00:02:02,408 今日は特別に漢詩を今の言葉に訳した形で お送りしたいと思います。 18 00:02:02,408 --> 00:02:04,908 では どうぞ。 19 00:02:07,914 --> 00:02:13,086 「男として豆と麦の違いの 分かるものなら➡ 20 00:02:13,086 --> 00:02:16,923 誰でもすぐれた志士が 遠くへ旅することを➡ 21 00:02:16,923 --> 00:02:19,559 引き止めはしない…。➡ 22 00:02:19,559 --> 00:02:22,462 弟よ 旅に出ろ。➡ 23 00:02:22,462 --> 00:02:26,933 孝行も案ずるには及ばぬ。➡ 24 00:02:26,933 --> 00:02:29,769 家は俺が守る。➡ 25 00:02:29,769 --> 00:02:32,569 名を高め…」。 26 00:02:35,208 --> 00:02:43,883 「名を高め 世に知れ渡る 偉大なる仕事をするのはお前の役目だ。➡ 27 00:02:43,883 --> 00:02:52,592 つつましく暮らし 母や家を養うのは 俺が引き受けた。➡ 28 00:02:52,592 --> 00:02:57,063 行け! そして励め! 学問に武道に。➡ 29 00:02:57,063 --> 00:02:59,966 この旅を奔走せよ。➡ 30 00:02:59,966 --> 00:03:03,736 名のある人士と討論せよ!➡ 31 00:03:03,736 --> 00:03:11,077 この兄もまた 目を見開いて お前の帰りを待っていよう」。 32 00:03:11,077 --> 00:03:18,251 ♬~ 33 00:03:18,251 --> 00:03:23,251 (物音) 34 00:03:36,035 --> 00:03:37,970 あにぃ? 35 00:03:37,970 --> 00:03:43,776 おぉ 目ぇ覚めちまったか。 今夜は蒸し暑いな。 36 00:03:43,776 --> 00:03:46,776 うむ…。 37 00:03:52,585 --> 00:03:58,285 本当は あにぃが行ぎてんじゃねんか 江戸に。 38 00:04:00,059 --> 00:04:05,731 ハッ… そりゃ行ぎてぇに。 39 00:04:05,731 --> 00:04:11,070 でも誰かが家を守らなくちゃなんねぇ。 40 00:04:11,070 --> 00:04:14,570 村の役目だってある。 これでいいんだ。 41 00:04:17,844 --> 00:04:20,079 そうか。 42 00:04:20,079 --> 00:04:24,550 (惇忠)明日も早ぇ。 明かり消すぞ。 うん。 43 00:04:24,550 --> 00:04:35,228 ♬~ 44 00:04:35,228 --> 00:04:38,231 気張れよ~! 長七郎! 45 00:04:38,231 --> 00:04:41,501 俺もいつか必ず行ぐからな~! 46 00:04:41,501 --> 00:04:49,242 長七郎は 栄一たちの期待を一身に受け 江戸へと旅立っていきました。 47 00:04:49,242 --> 00:04:54,514 いいなぁ やっぱり長七郎はいい男だのう。 48 00:04:54,514 --> 00:04:58,384 あぁ 俺らの誇りよ。 49 00:04:58,384 --> 00:05:01,053 聞いたぞ。 50 00:05:01,053 --> 00:05:04,390 その長七郎に勝負を挑んだそうだな 喜作。 51 00:05:04,390 --> 00:05:07,293 (尾高やへ)はぁ? 勝負だって? 52 00:05:07,293 --> 00:05:10,530 ちょっ いや あにぃ。 後でちゃんと話そうと…。 53 00:05:10,530 --> 00:05:13,900 さぁさぁ 来ない。 詳しく話を聞いてやろう。 54 00:05:13,900 --> 00:05:16,235 お千代の父親代わりは俺だかんな。 55 00:05:16,235 --> 00:05:20,235 あにぃ ちっと声がでけえど。 ん? 56 00:05:24,410 --> 00:05:26,710 (尾高千代)何の話だんべか? え? 57 00:05:29,081 --> 00:05:31,350 いや…。 58 00:05:31,350 --> 00:05:37,023 お前に勝って… お千代を嫁にもらいてぇ。 59 00:05:37,023 --> 00:05:39,023 ええっ! 60 00:05:40,893 --> 00:05:43,093 何でもねぇ。 61 00:05:51,203 --> 00:08:41,841 ♬~ 62 00:08:41,841 --> 00:08:46,011 (惇忠)ほう 喜作に縁談? ああ。 63 00:08:46,011 --> 00:08:49,048 ほら去年 鎮守の宮の祭りで➡ 64 00:08:49,048 --> 00:08:52,885 西の家と国領の福田んちで もめ事があったんべえ。 65 00:08:52,885 --> 00:08:57,723 あぁ 福田の直三郎か。 おお そうだ。 66 00:08:57,723 --> 00:09:03,863 そのもめ事を仲裁した俺を 直三郎の姉さまが見初めたとか何とかで➡ 67 00:09:03,863 --> 00:09:06,699 うちに嫁に来てぇと頼み込んできたんだ。 68 00:09:06,699 --> 00:09:10,035 それは意気盛んな姉さまだ。 年はいくつだい? 69 00:09:10,035 --> 00:09:12,371 いや知らねぇ。 70 00:09:12,371 --> 00:09:18,043 でも うちのとっさまも乗り気で このままじゃその話が勝手に進んじまう。 71 00:09:18,043 --> 00:09:24,216 そんで その前に俺は 己で嫁を決めてぇと思ったんだに。 72 00:09:24,216 --> 00:09:28,087 それでお千代を。 それじゃ 母さまに…。 73 00:09:28,087 --> 00:09:31,824 いや 喜作。 74 00:09:31,824 --> 00:09:36,328 お前は…➡ 75 00:09:36,328 --> 00:09:42,134 お前は うむ いい男だに。 76 00:09:42,134 --> 00:09:45,337 ん? お前は何てぇか こう➡ 77 00:09:45,337 --> 00:09:48,240 男気がある。 負けじ魂がある。 78 00:09:48,240 --> 00:09:52,211 それに心根があったけぇ。 79 00:09:52,211 --> 00:09:58,050 そうよ。 俺が3つで疱瘡にかかった時も おめえ うちまで慰めに来てくれたなぁ。 80 00:09:58,050 --> 00:10:00,886 ハハハッ。 そうよ。 81 00:10:00,886 --> 00:10:06,492 喜作はいい男だ。 82 00:10:06,492 --> 00:10:12,198 しかし… 夫となるとどうだんべなぁ? 83 00:10:12,198 --> 00:10:14,133 え? 84 00:10:14,133 --> 00:10:17,503 お前はこう 目立つことは好きだが➡ 85 00:10:17,503 --> 00:10:21,207 骨を折って真面目に こつこつと働くことが苦手だんべ? 86 00:10:21,207 --> 00:10:23,709 なぬ? うかつなところもある。 87 00:10:23,709 --> 00:10:25,644 ちっとんべ新しいもんをめっけると➡ 88 00:10:25,644 --> 00:10:29,515 「お これはいい」と すぅぐ流される軽薄なところがある。 89 00:10:29,515 --> 00:10:33,385 お千代の夫となるとなぁ。 90 00:10:33,385 --> 00:10:37,056 どういう意味だ? お前と一緒になったら きっと苦労する。 91 00:10:37,056 --> 00:10:38,991 苦労するだんべぇ。 92 00:10:38,991 --> 00:10:41,393 何だと! この野郎! (惇忠)おいおい! 93 00:10:41,393 --> 00:10:43,896 お前にはお前の尻を バンバンたたいてくれるような➡ 94 00:10:43,896 --> 00:10:46,398 意気盛んなおなごの方が合ってるに。 95 00:10:46,398 --> 00:10:50,269 そうだ。 お前は その直三郎の姉さまの方が合ってるに! 96 00:10:50,269 --> 00:10:54,273 何を おめぇ 何も知らねぇくせに この減らず口が! 97 00:10:54,273 --> 00:10:56,408 (惇忠)おいおい やめねぇか。 98 00:10:56,408 --> 00:10:58,344 (渋沢ゑい)はれま? 99 00:10:58,344 --> 00:11:00,746 (渋沢なか) あれ 乗っかってんの喜作かい? 100 00:11:00,746 --> 00:11:06,919 俺はなぁ 直三郎の姉さまや おめえの姉さまみてえなおなごではねえ! 101 00:11:06,919 --> 00:11:08,854 お千代が欲しい! 102 00:11:08,854 --> 00:11:11,090 お千代は駄目だに! 103 00:11:11,090 --> 00:11:14,560 お前は おしゃべりで威勢のいいおなごにしろ! 104 00:11:14,560 --> 00:11:18,097 威勢のいいおなごなんかくそ食らえだ! 105 00:11:18,097 --> 00:11:21,000 何か言ったかい 喜作。 106 00:11:21,000 --> 00:11:22,968 いえ…。 107 00:11:22,968 --> 00:11:27,106 全く あんたたちは 相変わらずの子供だいね。 108 00:11:27,106 --> 00:11:29,775 嫁の話なんて10年早いんだよ。 109 00:11:29,775 --> 00:11:32,775 ほら 顔洗ってきな! 110 00:11:38,384 --> 00:11:43,522 (やす)あれま 川路様じゃありませんか。 111 00:11:43,522 --> 00:11:45,891 (川路聖謨)ご新造 円四郎はおるか? 112 00:11:45,891 --> 00:11:48,394 えぇえぇ おりますとも。➡ 113 00:11:48,394 --> 00:11:52,898 何やら どなたかから 大事な書き物を頼まれたとか何とかで。➡ 114 00:11:52,898 --> 00:11:56,235 ちょいと お前さん。 (平岡円四郎)え? 115 00:11:56,235 --> 00:11:58,537 川路様がお見えだよ。 116 00:11:58,537 --> 00:12:02,408 おっと こりゃ珍しいこって。 117 00:12:02,408 --> 00:12:05,911 熱心だな。 (円四郎)ええ。➡ 118 00:12:05,911 --> 00:12:08,414 うちのお殿様は えれぇお方だ。 119 00:12:08,414 --> 00:12:12,284 伊勢守様が亡くなられた。 120 00:12:12,284 --> 00:12:14,286 え? 121 00:12:14,286 --> 00:12:19,425 (阿部正弘)うう…。 は? えっ…。 伊勢守様! 122 00:12:19,425 --> 00:12:23,095 ううっ…。 伊勢守様! 123 00:12:23,095 --> 00:12:27,933 今まで公方様 大奥 諸大名の御用向き➡ 124 00:12:27,933 --> 00:12:30,836 勝手方 諸外国との応対まで➡ 125 00:12:30,836 --> 00:12:35,536 全て伊勢守様が お一人で引き受けてこられたのだ。 126 00:12:38,210 --> 00:12:41,510 これから天下は大いに荒れるぞ。 127 00:12:49,922 --> 00:12:58,122 私は… 誰かさまと共に一度 ご公儀で働いてみたかった気もします。 128 00:13:05,904 --> 00:13:08,704 (徳川慶喜)伊勢守殿…。 129 00:13:10,409 --> 00:13:14,279 ハルリスは なお強く 江戸への出府を求めております。 130 00:13:14,279 --> 00:13:19,118 亡くなった阿部に代わって 権力の座についたのは…。 131 00:13:19,118 --> 00:13:21,553 (堀田正睦)川路。 (川路)はっ。 132 00:13:21,553 --> 00:13:25,424 通商の儀を進めるべく 取り調べをいたせ。 133 00:13:25,424 --> 00:13:27,760 (2人)ははっ。 134 00:13:27,760 --> 00:13:32,731 開国派の老中 堀田正睦でした。 135 00:13:32,731 --> 00:13:37,202 強硬に通商を求めるハリスに対し➡ 136 00:13:37,202 --> 00:13:41,707 幕府は重い扉を開こうとしていました。 137 00:13:41,707 --> 00:13:46,045 するってぇと 国は開く方に進んでるんで? 138 00:13:46,045 --> 00:13:49,515 大名の意見は賛同が7割。 139 00:13:49,515 --> 00:13:54,353 しかし 朝廷に 勅許を求めるべきとの意見も出ておる。 140 00:13:54,353 --> 00:13:56,288 それに 我が父も…。 141 00:13:56,288 --> 00:14:00,059 そりゃあご老公も 黙っちゃあいねぇでしょうねぇ。 142 00:14:00,059 --> 00:14:04,930 しかし 異国も大事ですが 天下太平のためには➡ 143 00:14:04,930 --> 00:14:09,234 誰が次の将軍になるかってえことも 一大事でございます。 144 00:14:09,234 --> 00:14:11,170 またその話か。 145 00:14:11,170 --> 00:14:16,008 私は徳信院様にも この一橋を 出ていってほしくないと言われておる。 146 00:14:16,008 --> 00:14:17,943 あなた様のためじゃぁございません。 147 00:14:17,943 --> 00:14:21,747 越前様も某も天下のためを思ってのこと。 148 00:14:21,747 --> 00:14:25,918 殿は こんな天下大変の状況を ご覧になりながら➡ 149 00:14:25,918 --> 00:14:32,118 本当に10万石の禄を受けるだけで ご満足なのでございますか? 150 00:14:41,366 --> 00:14:47,039 慶喜の案じていたとおり 斉昭は またもや朝廷に➡ 151 00:14:47,039 --> 00:14:51,539 幕府を非難する手紙を 送ってしまいました。 152 00:14:58,383 --> 00:15:00,319 (斉昭)何故参った?➡ 153 00:15:00,319 --> 00:15:03,889 全ては堀田備中の不届きぞ! 154 00:15:03,889 --> 00:15:08,227 ははっ。 ご老公のご意見は➡ 155 00:15:08,227 --> 00:15:12,531 上様も常々 殊の外 頼りにされておりますものの➡ 156 00:15:12,531 --> 00:15:15,067 備中守様はご多用にて寸暇なく…。 157 00:15:15,067 --> 00:15:17,002 (斉昭)何を言うか。 158 00:15:17,002 --> 00:15:22,741 先日も 何か意見があれば申せと言うから➡ 159 00:15:22,741 --> 00:15:26,078 「私をメリケンに派遣しろ」と言ったのだ。 160 00:15:26,078 --> 00:15:31,250 そのような急務を申しつけてやったのに➡ 161 00:15:31,250 --> 00:15:38,056 その返答は一切なく 今更何事ぞ! 162 00:15:38,056 --> 00:15:42,256 言語道断! 不埒千万じゃ! 163 00:15:46,698 --> 00:15:49,735 備中は腹を切れぃ。 164 00:15:49,735 --> 00:15:53,872 ハルリスは首をはねて当然しかり。 165 00:15:53,872 --> 00:15:56,909 (永井尚志) お 仰せのとおりではございますが…。 166 00:15:56,909 --> 00:16:01,380 そうまで言われたら 何を申し上げてよいのやら…。 167 00:16:01,380 --> 00:16:03,715 どうか おとりなしを。 168 00:16:03,715 --> 00:16:07,215 いや 私は…。 169 00:16:09,054 --> 00:16:16,228 それでは これより今後のご処置は 備中守様が取り計らい➡ 170 00:16:16,228 --> 00:16:19,898 その節はもうご意見はなしとのことで 結構でございましょうか。 171 00:16:19,898 --> 00:16:21,833 知るか! 172 00:16:21,833 --> 00:16:24,833 勝手にしろ! 173 00:16:30,609 --> 00:16:34,846 (武田耕雲斎)ご老公 ご老公 お待ちを。 174 00:16:34,846 --> 00:16:37,482 ご老公! 175 00:16:37,482 --> 00:16:42,020 あの2人に 酒でも出してやれ。 176 00:16:42,020 --> 00:16:45,220 は? いや しかし…。 177 00:16:46,858 --> 00:16:52,364 私とて分かっておる…。 178 00:16:52,364 --> 00:16:59,664 もう私の役目は終わったということぐらい 分かっておるのだ。 179 00:17:01,373 --> 00:17:03,373 ご老公…。 180 00:17:14,720 --> 00:17:18,223 七郎! よう来た。 今 吉子が…。 181 00:17:18,223 --> 00:17:24,730 昨日 登城しました折に 備中殿から伺いました。 182 00:17:24,730 --> 00:17:27,399 「ハルリスの首をはねよ」と言ったことか? 183 00:17:27,399 --> 00:17:30,302 そのこともさることながら あれほど申したにもかかわらず➡ 184 00:17:30,302 --> 00:17:34,172 京の鷹司家に対し ご公儀の方針とは異なる意見を➡ 185 00:17:34,172 --> 00:17:36,475 文にて申し立てたとのこと。 186 00:17:36,475 --> 00:17:39,845 京の都は今 「攘夷 攘夷」と お父上の論を伝聞して➡ 187 00:17:39,845 --> 00:17:44,182 過激な行動をなす者が多くなり 公儀の諸役人は皆困り果てております。 188 00:17:44,182 --> 00:17:46,685 また そのことで 天子様を惑わせたとしたら➡ 189 00:17:46,685 --> 00:17:50,985 父上のなされることは本当に 忠義にかなっておられるのでしょうか。 190 00:17:55,861 --> 00:17:59,561 分かった。 もうせぬ。 191 00:18:04,036 --> 00:18:09,708 もうせぬ。 あとは そなたに任せる。 192 00:18:09,708 --> 00:18:13,578 それでは… 今後は京への文は一切書かぬとの一筆を➡ 193 00:18:13,578 --> 00:18:17,215 備中守に宛てて書いていただきたい。 194 00:18:17,215 --> 00:18:21,386 備中にだと? そんなもの書けるか! 195 00:18:21,386 --> 00:18:24,723 (吉子)慶喜殿のおっしゃることが 理にかなっております。 196 00:18:24,723 --> 00:18:30,723 お前まで言うか。 どうか どうかご公儀におわびなされませ。 197 00:18:51,350 --> 00:18:54,186 (阿部)この国は変わろうとしている。 198 00:18:54,186 --> 00:19:03,186 お父君や我らの世が終わり 新しい世が始まろうとしているのです。 199 00:19:21,046 --> 00:19:25,917 (美賀君)一つお伺いしてよろしい? 200 00:19:25,917 --> 00:19:28,720 何じゃ。 201 00:19:28,720 --> 00:19:35,527 殿は いずれ将軍になるおつもりで あらしゃるか? 202 00:19:35,527 --> 00:19:38,330 なぜそのようなことを聞く? 203 00:19:38,330 --> 00:19:42,334 うもじの心構えとして 知っておきたかったのみ。 204 00:19:42,334 --> 00:19:46,838 深い意味などあらしゃりませぬ。 205 00:19:46,838 --> 00:19:55,480 ふむ。 私の器量では この一橋家でさえ荷が重い。 206 00:19:55,480 --> 00:20:01,180 まして天下を取ったりすれば 公儀滅亡のもとだ。 207 00:20:10,862 --> 00:20:13,862 それは建て前であらしゃるな。 208 00:20:19,571 --> 00:20:22,040 承知いたしました。 209 00:20:22,040 --> 00:20:28,380 それでは妾も そのように覚悟をいたしましょう。 210 00:20:28,380 --> 00:20:45,530 ♬~ 211 00:20:45,530 --> 00:20:54,739 血洗島では 栄一の姉 なかが 同じ村の家に嫁いでいきました。 212 00:20:54,739 --> 00:21:00,739 とっさま かっさま 大変お世話になりました。 213 00:21:02,481 --> 00:21:04,749 (渋沢市郎右衛門)あぁ。 214 00:21:04,749 --> 00:21:08,920 体だけは大事にね。 (なか)はい。 215 00:21:08,920 --> 00:21:11,756 (渋沢まさ) あんたは気ぃの強いとこがあるから➡ 216 00:21:11,756 --> 00:21:15,260 愛想尽かされねぇようにしねぇと。 はい。 217 00:21:15,260 --> 00:21:17,929 まぁた おばさん 余計なことを。 218 00:21:17,929 --> 00:21:20,966 (まさ) 何だ 栄一。 お前に言われたくねぇよ。 219 00:21:20,966 --> 00:21:23,101 ん? (渋沢てい)そうだに。 220 00:21:23,101 --> 00:21:25,136 兄さまはいつも口が過ぎるだんべ。 221 00:21:25,136 --> 00:21:28,440 よくぞ言った おてい。 (笑い声) 222 00:21:28,440 --> 00:21:33,278 (渋沢宗助)ああ そういえば お千代も 喜作と一緒になるってか? 223 00:21:33,278 --> 00:21:37,148 ん? そんな話があるのか? ええ…。 224 00:21:37,148 --> 00:21:40,385 喜作がお千代を好いてたことぐらい 分かってたいねぇ。 225 00:21:40,385 --> 00:21:42,888 尾高の家も乗り気らしいよ。 226 00:21:42,888 --> 00:21:46,525 渋沢の新屋敷なら 申し分ねえだんべぇって。 227 00:21:46,525 --> 00:21:51,396 あらそうですか。 それはおめでたいこと。 228 00:21:51,396 --> 00:22:48,096 ♬~ 229 00:23:31,863 --> 00:23:36,201 (尾高平九郎)あ 栄一さん! 230 00:23:36,201 --> 00:23:40,705 平九郎。 おめえ また背伸びたな。 231 00:23:40,705 --> 00:23:46,405 そうか? あ 姉さま! 栄一さん 来てるで。 232 00:23:48,046 --> 00:23:50,715 栄一さん。 233 00:23:50,715 --> 00:23:52,715 おう…。 234 00:23:59,891 --> 00:24:09,534 なあ お千代。 おめえ… 喜作と一緒になんのか? 235 00:24:09,534 --> 00:24:14,734 あぁ そういうお話があるみたいで。 236 00:24:16,307 --> 00:24:18,807 おめえは それで…。 237 00:24:27,952 --> 00:24:32,152 へぇ。 ありがてぇお話です。 238 00:24:36,027 --> 00:24:43,902 うちは… 今 兄さまたちがあんなで ちっとんべお金に困ってるもんだから➡ 239 00:24:43,902 --> 00:24:51,376 きっと どこか遠くの商売人に 嫁ぐことになると覚悟してたんだに。 240 00:24:51,376 --> 00:24:56,247 それが 喜作さんとこなら安心だ。 241 00:24:56,247 --> 00:25:01,519 小せぇ頃からよく知ってるし うちからも近ぇし➡ 242 00:25:01,519 --> 00:25:04,519 こんなありがてぇお話はねぇ。 243 00:25:08,059 --> 00:25:11,896 喜作さんは優しいし…➡ 244 00:25:11,896 --> 00:25:17,535 栄一さんとも 中の家の方々とも➡ 245 00:25:17,535 --> 00:25:22,335 ずっとこうして お近くにいられるんだから。 246 00:25:35,487 --> 00:25:37,687 そうだいな。 247 00:25:41,359 --> 00:25:47,559 そうだいな… よかった。 248 00:25:59,677 --> 00:26:01,613 へぇ。 249 00:26:01,613 --> 00:26:15,727 ♬~ 250 00:26:15,727 --> 00:26:18,229 そんじゃ。 251 00:26:18,229 --> 00:26:38,016 ♬~ 252 00:26:38,016 --> 00:26:42,516 あっつ…。 253 00:27:01,039 --> 00:27:05,376 (松平慶永) ハルリスなんかよりも一橋様のことじゃ! 254 00:27:05,376 --> 00:27:09,714 (橋本左内)ははっ。 開国に揺らぐ幕府を立て直すべく➡ 255 00:27:09,714 --> 00:27:14,219 慶喜を 次期将軍に推す声が再燃。 256 00:27:14,219 --> 00:27:18,389 平岡殿 一橋様への至誠あふれる➡ 257 00:27:18,389 --> 00:27:21,726 すばらしいご文章でした。 258 00:27:21,726 --> 00:27:25,063 少し手を入れ このようにまとめました。 259 00:27:25,063 --> 00:27:26,998 へぇ。 260 00:27:26,998 --> 00:27:29,934 円四郎がまとめた手記をもとに…。 261 00:27:29,934 --> 00:27:32,170 お納めください。 262 00:27:32,170 --> 00:27:41,846 松平慶永は世継ぎを一橋慶喜に定めるよう 幕府に建白書を提出しました。 263 00:27:41,846 --> 00:27:47,546 上様には 私から取り計らいましょう。 264 00:27:49,187 --> 00:27:51,187 何とぞ。 265 00:27:52,857 --> 00:27:58,029 (徳川家定)なぜそのように 急いで世継ぎを決めねばならぬ。 266 00:27:58,029 --> 00:28:03,201 わしはまだ若く 篤を御台に迎えたばかりじゃぞ。 267 00:28:03,201 --> 00:28:08,873 (篤君)えぇ 今日も 上様のお芋はおいしゅうございもす。 268 00:28:08,873 --> 00:28:10,909 そうよのう。 269 00:28:10,909 --> 00:28:16,214 慶喜のような年寄り息子など要らぬわ。 270 00:28:16,214 --> 00:28:18,716 (歌橋)それだけではありませんよ 上様。 271 00:28:18,716 --> 00:28:25,056 越前様は メリケンのハルリスとやらの拝謁を➡ 272 00:28:25,056 --> 00:28:30,395 上様の代わりに一橋様に 受けさせてはどうかと申しておるのです。 273 00:28:30,395 --> 00:28:34,999 慶喜に? はら 代わりにお会いくださると? 274 00:28:34,999 --> 00:28:40,799 ようございもした 上様。 異人に会わずに済むなんて。 275 00:28:42,473 --> 00:28:47,011 そうよのう。 それはよいのう。 276 00:28:47,011 --> 00:28:51,849 一橋様なら… 日の本の代表として➡ 277 00:28:51,849 --> 00:28:56,354 異人に会わせるのに 恥ずかしくないお方だと。 278 00:28:56,354 --> 00:29:00,692 何? 慶喜なら恥ずかしくなくて➡ 279 00:29:00,692 --> 00:29:03,594 わしでは恥ずかしいと申すか!? 280 00:29:03,594 --> 00:29:05,563 あいちゃ~。 281 00:29:05,563 --> 00:29:07,565 大奥では 水戸のご老公が➡ 282 00:29:07,565 --> 00:29:11,869 ご子息を次の公方様にするたくらみで 動いているとの➡ 283 00:29:11,869 --> 00:29:15,069 専らのうわさでございます。 284 00:29:17,508 --> 00:29:21,045 ハルリスには わしが会う。 285 00:29:21,045 --> 00:29:24,845 わしは越前も慶喜も好かぬ! 286 00:29:31,456 --> 00:29:36,294 (尾高長七郎)うわ… すごい行列だで。 どこの大名だい? 287 00:29:36,294 --> 00:29:39,664 (真田範之助)あの珍妙な旗を見ろ。➡ 288 00:29:39,664 --> 00:29:43,167 ありゃメリケンの旗だ。 何? 289 00:29:43,167 --> 00:29:46,671 かごの中身は メリケンの使者のハルリスよ。➡ 290 00:29:46,671 --> 00:29:49,574 城に入って公方様にお目通りするのだ。 291 00:29:49,574 --> 00:29:53,344 なんと… 幕吏は何を考えておる! 292 00:29:53,344 --> 00:29:57,849 尾高 下がれ! あにぃが聞いたら どれほど嘆くことか…。 293 00:29:57,849 --> 00:30:01,352 分かった…。 294 00:30:01,352 --> 00:30:06,352 そこで お主を連れていきたい所がある。 こっちだ。 295 00:30:10,862 --> 00:30:18,369 (大橋訥庵)西洋では既に大きな罰を受け 罪を償っておる者たちの…。 296 00:30:18,369 --> 00:30:21,205 ここは…。 297 00:30:21,205 --> 00:30:25,510 (訥庵)肉を刻み 骨を砕き…。 298 00:30:25,510 --> 00:30:30,348 おぉ! (訥庵)それが肝要であるかのごとく…。 299 00:30:30,348 --> 00:30:33,718 (小声で)おい…。 300 00:30:33,718 --> 00:30:38,389 (訥庵)もはや人のなすべき業ではない。➡ 301 00:30:38,389 --> 00:30:46,531 すなわち 夷狄の民は禽獣のごとき 人にあらず! 302 00:30:46,531 --> 00:30:48,900 (志士たち)人にあらず! 303 00:30:48,900 --> 00:30:50,835 (小声で)あれが大橋訥庵先生じゃ。 304 00:30:50,835 --> 00:30:54,772 この塾で早くから 尊王攘夷を唱えていらっしゃる。 305 00:30:54,772 --> 00:30:57,542 狼というも過言ではない。 306 00:30:57,542 --> 00:31:02,246 ゆえに はらわねばならぬのである! 307 00:31:02,246 --> 00:31:05,750 そうじゃ! そのとおりだ! 308 00:31:05,750 --> 00:31:08,653 夷狄をはらう… もっと話が聞きてぇ! 309 00:31:08,653 --> 00:31:11,923 (長州藩士)おい 誰じゃ! 310 00:31:11,923 --> 00:31:15,259 怪しい者ではねぇ。 先生のお話を伺いてぇと…。 311 00:31:15,259 --> 00:31:19,130 (水戸藩士)待て! はっ 百姓か。 312 00:31:19,130 --> 00:31:25,770 (薩摩藩士)はっ わいのようなもんが 出入りする場所じゃなか。 出ていけ! 313 00:31:25,770 --> 00:31:28,806 何じゃ…。 曲者ぜよ! 314 00:31:28,806 --> 00:31:33,306 おい 田舎もんが… 立て! 立て! 立て! 315 00:31:35,446 --> 00:31:37,446 ああ…。 316 00:31:48,993 --> 00:31:51,993 や~! (訥庵)待ちなさい! 317 00:32:01,539 --> 00:32:03,839 ほう。 318 00:32:05,409 --> 00:32:13,609 この者… 実によい目をしておる。 319 00:32:22,560 --> 00:32:25,463 (伝蔵)あにきは もうじき また藍売りだんべなぁ。 320 00:32:25,463 --> 00:32:29,333 おう 今年はとっさまではなく あにぃと一緒だから➡ 321 00:32:29,333 --> 00:32:32,236 詩でも詠んで楽しめればよかんべぇ。 322 00:32:32,236 --> 00:32:37,074 へぇ~。 詩かぁ。 いいなぁ。 おう。 323 00:32:37,074 --> 00:32:39,574 や~! 324 00:32:44,382 --> 00:32:49,253 おい みんな! 長七郎から文が来たぞ! 325 00:32:49,253 --> 00:32:51,255 (一同)おぉ! 326 00:32:51,255 --> 00:32:56,727 今は真田と千葉道場で 武芸に励んでいるそうだ。 327 00:32:56,727 --> 00:33:01,065 江戸には今 尊王攘夷の志士が➡ 328 00:33:01,065 --> 00:33:04,535 あまたの国から集まっていると 書いてある。 329 00:33:04,535 --> 00:33:07,405 (一同)おぉ! 330 00:33:07,405 --> 00:33:12,543 それと 喜作。 え? 331 00:33:12,543 --> 00:33:18,349 栄一。 これはお前たち宛てだで。 332 00:33:18,349 --> 00:33:20,349 俺たちに? 333 00:33:23,287 --> 00:33:27,925 (長七郎)「江戸で出会う仲間たちは まっさか気持ちがよい。➡ 334 00:33:27,925 --> 00:33:34,125 皆 己の志を見つけ それに向かってまっすぐに生きておる」。 335 00:33:37,602 --> 00:33:41,372 志か…。 336 00:33:41,372 --> 00:33:44,041 ねぇ 何が書いてあるん? 337 00:33:44,041 --> 00:33:48,512 は? えぇと…。 338 00:33:48,512 --> 00:33:52,216 (長七郎) 「それから俺は お千代と一緒になるのは➡ 339 00:33:52,216 --> 00:33:57,054 お前かと思ってたぞ 栄一。➡ 340 00:33:57,054 --> 00:34:01,225 お前とお千代は 思い合っているもんだと思っていた。➡ 341 00:34:01,225 --> 00:34:04,262 無論 喜作でも構わねぇんだがな」。 342 00:34:04,262 --> 00:34:06,397 ねぇ 何て? え? 343 00:34:06,397 --> 00:34:08,733 え…。 子供は向こう行ってろ。 344 00:34:08,733 --> 00:34:12,536 はあ? いいから行っとれ。 345 00:34:12,536 --> 00:34:16,036 何だんべ? もう。 346 00:34:23,547 --> 00:34:29,754 (長七郎) 「なあ栄一 お前の欲しいものは何だ?➡ 347 00:34:29,754 --> 00:34:35,359 お前の志は何だ?➡ 348 00:34:35,359 --> 00:34:40,231 本当にお前は このままでいいのか…。➡ 349 00:34:40,231 --> 00:34:44,931 いま一度 その胸によぉく聞いてみろ」。 350 00:34:53,210 --> 00:34:55,146 よし。 351 00:34:55,146 --> 00:35:02,720 栄一。 それでは商いに行くというより まるで風流人の格好じゃねぇか。 352 00:35:02,720 --> 00:35:05,056 え? そうかい? 353 00:35:05,056 --> 00:35:10,928 くれぐれも道中 本を読んだり 詩を書いたりに明け暮れて➡ 354 00:35:10,928 --> 00:35:13,731 大事な商い 忘れるんじゃねぇで。 355 00:35:13,731 --> 00:35:15,766 わ… 分かっておりますよ。 356 00:35:15,766 --> 00:35:18,266 ハハ…。 あにぃ。 357 00:35:21,405 --> 00:35:23,341 だいぶ高くなってきたな。 358 00:35:23,341 --> 00:35:33,541 栄一は 惇忠と出かけた藍売りの旅で この時の気持ちを詩にしたためています。 359 00:35:36,053 --> 00:35:41,492 「旅支度を整えると もう心は浮き立ってくる。➡ 360 00:35:41,492 --> 00:35:44,395 ほんの短い旅だが それがちょうど➡ 361 00:35:44,395 --> 00:35:48,265 野や山の最も美しい時期に あたるなんて➡ 362 00:35:48,265 --> 00:35:50,868 誰が知っているだろう」。 363 00:35:50,868 --> 00:35:53,204 栄一 いいの書けそうか? 364 00:35:53,204 --> 00:35:58,876 あ~ よいかどうかは分かんねぇが いろいろ出てくる。 365 00:35:58,876 --> 00:36:01,912 「さぁ これから 先達のあとについて➡ 366 00:36:01,912 --> 00:36:04,682 信州へと旅立つ。➡ 367 00:36:04,682 --> 00:36:07,585 夜ごと旅の宿で その土地の風情を➡ 368 00:36:07,585 --> 00:36:11,589 詩に うたっていくことにしよう」。 369 00:36:11,589 --> 00:36:15,393 あにぃ! 遅ぇぞ 日ぃ暮れちまうぞ。 370 00:36:15,393 --> 00:36:20,531 「山はうねうねと波のごとき姿で➡ 371 00:36:20,531 --> 00:36:25,731 西は浅間山に接して 2つ向かい合っている」。 372 00:36:31,208 --> 00:36:35,679 「天然の石や岩が ごろごろした岩肌は➡ 373 00:36:35,679 --> 00:36:39,483 人が削って作ったかのように 鋭く険しい」。 374 00:36:39,483 --> 00:36:42,783 あにぃ。 おう すまん…。 375 00:36:44,688 --> 00:36:49,360 「一巻の書を肩に 険しい峰をよじ登る。➡ 376 00:36:49,360 --> 00:36:57,501 やがて谷を歩くも峰をよじ登るも ますます深く険しくなり➡ 377 00:36:57,501 --> 00:37:02,206 見たこともないような 大きな岩や石が横たわっている。➡ 378 00:37:02,206 --> 00:37:07,711 私は 青天を衝く勢いで…➡ 379 00:37:07,711 --> 00:37:11,411 白雲を 突き抜けるほどの勢いで進む!」。 380 00:37:27,531 --> 00:39:12,036 ♬~ 381 00:39:12,036 --> 00:39:15,072 あぁ 栄一 帰ってきたんか。 382 00:39:15,072 --> 00:39:18,572 えぇ 帰ってくるなり駆けだしていって。 383 00:39:25,883 --> 00:39:28,218 栄一さん 戻ってきたんか。 384 00:39:28,218 --> 00:39:30,154 おお 平九郎 お千代は? 385 00:39:30,154 --> 00:39:33,657 先に帰った。 神社に寄るって言ってたで。 386 00:39:33,657 --> 00:39:35,657 ありがとう! 387 00:39:45,002 --> 00:39:47,002 お千代! 388 00:39:49,473 --> 00:39:51,673 栄一さん。 389 00:39:55,679 --> 00:40:01,179 はぁ… はぁ…。 390 00:40:07,691 --> 00:40:13,864 お千代 俺は…➡ 391 00:40:13,864 --> 00:40:19,503 俺は お前が欲しい。 392 00:40:19,503 --> 00:40:42,726 ♬~ 393 00:40:42,726 --> 00:40:52,403 堀田から 自分には老中首座は重荷ゆえ 越前を大老にしてはどうかと薦められた。 394 00:40:52,403 --> 00:40:54,338 越前様を? 395 00:40:54,338 --> 00:40:59,743 わしは嫌じゃ。 越前は嫌いじゃ。 396 00:40:59,743 --> 00:41:04,081 あいつは前々から わしを見下すような目をしておった。 397 00:41:04,081 --> 00:41:07,418 あのお方が大老になれば 毎日のように➡ 398 00:41:07,418 --> 00:41:12,923 「お世継ぎには一橋様を 一橋様を」と 言い続けるに違いありませぬ。 399 00:41:12,923 --> 00:41:20,264 はっはぁ~。 待ち切れぬのう。 400 00:41:20,264 --> 00:41:28,464 誰か 阿部や堀田に代わって わしを支えるよい重臣はおらぬのか。 401 00:41:31,508 --> 00:41:35,379 (井伊直弼)失礼つかまつりまする。 402 00:41:35,379 --> 00:41:43,079 本日は 上様のお茶会にお招きをいただき 恐悦至極に存じ奉りまする。 403 00:41:45,089 --> 00:41:47,091 (小声で)誰だったかのう。 404 00:41:47,091 --> 00:41:51,228 (小声で) 彦根の井伊掃部頭様でございまする。 405 00:41:51,228 --> 00:41:57,901 僭越ながら 某も茶の湯は いささか たしなんでおりまするゆえ…。 406 00:41:57,901 --> 00:42:03,774 おぉ これは珍しい茶菓子。 407 00:42:03,774 --> 00:42:05,776 わしがこしらえた菓子じゃ。 408 00:42:05,776 --> 00:42:08,476 ははぁ。 409 00:42:17,087 --> 00:42:19,587 そうか…。 410 00:42:28,565 --> 00:42:31,065 あぁ…。 411 00:42:45,983 --> 00:42:51,983 うん… おいしゅうございます。 412 00:42:54,391 --> 00:42:56,591 井伊か。 413 00:42:58,896 --> 00:43:01,398 は? 414 00:43:01,398 --> 00:43:05,269 百姓といえども大いに戦って この世を変えたい。 415 00:43:05,269 --> 00:43:07,271 びっちゅう…。 416 00:43:07,271 --> 00:43:09,273 大老をお屋敷にお呼びつけになるなど 先例がございませぬ。 417 00:43:09,273 --> 00:43:11,408 父より先に話がしたいのだ。 418 00:43:11,408 --> 00:43:13,343 皆 ああた様に日の本を➡ 419 00:43:13,343 --> 00:43:15,412 まとめていただきたいと 望んでいるんですぜ! 420 00:43:15,412 --> 00:43:19,283 頼む。 ご機嫌よろしゅう。 421 00:43:19,283 --> 00:43:22,483 栄一 俺と勝負しろ。 422 00:43:33,697 --> 00:43:39,503 栄一は藍玉を売るために 度々 上州や妙義山を越えて➡ 423 00:43:39,503 --> 00:43:43,203 信州へ旅をしていました。 424 00:43:44,875 --> 00:43:49,746 南牧村は 栄一が訪れた場所の一つです。 425 00:43:49,746 --> 00:43:55,052 取引先と話し込んでいた時 栄一の馬が➡ 426 00:43:55,052 --> 00:44:00,052 庭のさつきを食べ尽くしてしまった という逸話が残されています。 427 00:44:01,825 --> 00:44:05,062 栄一はおわびに この石に➡ 428 00:44:05,062 --> 00:44:09,533 「愛染明王」と 書き残したと伝わっています。 429 00:44:09,533 --> 00:44:14,404 安政5年 惇忠と旅をした栄一は➡ 430 00:44:14,404 --> 00:44:19,743 道中で詠んだ漢詩を 「巡信紀詩」にまとめました。 431 00:44:19,743 --> 00:44:27,743 2人が帰り道に立ち寄った安中宿で 栄一は後書きを書いたといいます。 432 00:44:29,419 --> 00:44:34,719 内山峡は 栄一が漢詩を詠んだ場所の一つです。 433 00:44:36,226 --> 00:44:42,966 漢詩に感銘を受けた地元の人々によって 碑が作られました。 434 00:44:42,966 --> 00:44:47,666 そこには 「青天を衝く」の一節が。 435 00:44:49,506 --> 00:44:56,006 上州や信州には 栄一が見た景色が 今も残っています。 436 00:45:34,885 --> 00:45:40,490 (仁左衛門)1つ作って入り また 1つ作って入り。 437 00:45:40,490 --> 00:45:46,363 三度 繰り返さねば 金蔵に入る事は かなわぬか。 438 00:45:46,363 --> 00:45:49,032 <雲霧一党を追いかけ➡ 439 00:45:49,032 --> 00:45:53,470 江戸から名古屋へと来た 火付盗賊改方は➡ 440 00:45:53,470 --> 00:45:57,341 逗留先の寺から 藤屋を見張っていたが➡